2005年11月09日

Deroplatys desiccata


分布:マレー、スマトラ、ジャワ、ボルネオなど
和名:メダマカレハカマキリ、ムナビロカレハカマキリ
英名:dead leaf manis

 体色は明〜暗褐色、灰色を呈する。英名ではDeroplatys属は総じてdead leaf manisと称される。本種とD. lobataD. truncataは我が国において馴染み深く、前2種は比較的安価で入手が可能である。本種はメス成虫の体長が9.5cmと大型であり、オスも体幅は狭いがメスに近い大きさであり、Deroplatys属のなかでも性的二型は顕著な方でない。初令〜成虫に至るまで、極端に体サイズに差がなければ多頭飼育でもほとんど共食いが起こることはないことからも、飼育し易い種であると言える(まれに雌雄間の共食いは起こる)。飼育にはやや多湿な環境を要するので、湿度補給は怠らないようにする。メスは20〜40卵程度を含んだ卵嚢を1〜2個、多くて3個生産する。カマキリには、少数の卵の入った卵嚢を多数生産するタイプと、多数の卵を含む卵嚢を少数生産するタイプとがあるが、本種はどちらでもないように感じる。少数の卵を含む卵嚢を少数生産する本種の投資はどこに向けられているかというと、卵サイズのようである。本種は卵の1つ1つが比較的大きく、初令のステージから他種よりやや体サイズが大きい。幼虫は半年弱の期間をかけて成虫になる。
 前述のようにDeroplatys属としては3種だけが有名であるが、本属は11種を擁し、東南アジアに広く分布する。その多くは、魅力的な形態をしているにも関わらず、私の知る限り日本はおろか世界中のペットルートに流通していない。

 外国産カマキリを初めて飼育する方には、私は本種を入門種として強くお薦めする。本種は幼虫から成虫までの全ステージにおいて共食い率がかなり低く、余計な緊張感なく多頭飼育を楽しむことができる。
 本種の飼育に際しては、やや高めの湿度を保つように心がけたい。2ヶ月弱の期間を経て孵化した幼虫は、カマキリの1令幼虫のなかでも大型の部類に入る。エサはトリニドショウジョウバエが相応しい。本種は性判別も容易で、2令幼虫になれば、慣れない方でも前胸両縁の突起の形状の違いで雌雄を判別できる。3令程度まではショウジョウバエだけをエサとしても飼えるが、大きくなる4令以降はハエやコオロギを与えるた方が飼育の効率が良い。以降、同じような飼育で成虫にまで育つ。孵化から羽化までの期間は4〜5ヶ月程度で、他種同様オスのほうがやや早めに羽化する。ペアリングも容易で、交尾『させる』ことも楽にできる。ただ、成虫メスは本種としては例外的に共食いが起こり得るステージなので(それでも、共食い率は他種より低い)、ペアリングに際してはオスを食われないように工夫したい。

<写真>
標本
威嚇(左:オス、右:メス)
交尾姿勢
1令幼虫






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