2007年04月06日

2回目


 1回目の交尾成功後、複数の雌雄を同居させておいた。すると本日、前回交尾したメスが今後は別のオスと交尾した。良し良し。
 本種の配偶行動(オスのアプローチ→背中に乗る→交尾器の接合)の過程は今までに何度も見たことがあるが、いつ見ても緊張感の無さにあきれてしまう。多くの種において、カマキリのオスはメスを見つけると硬直し、隙をみてにじり寄り、突如メスの背に乗って交尾を試みる…という配偶行動をとる。これはメスに捕食されてしまうのを防ぐための特徴的なものであろう。しかし、ニセハナマオウカマキリのオスの配偶行動はこれとは異なる。以下に順を追って示す。

@メスが近くにいる場合、オスはまず触角でメスの存在を感じる(触角で空中を探るような動きをする)。ほぼ同時に目視もしている場合が多いが、触角による探知の方が重要なようだ。触角を動かさずにメスを目視する場合、「ただ見ているだけ」の場合が多く、ほとんどは交尾に至らない。

Aオスは姿勢を低くし、なおも触角でメスを探す。このとき、触角は根元を軸に軽く上下運動(「ピコピコ」と動かす感じ)をしている。姿勢を低くし、頭部を対象物に近づけて探る様子は、ちょうど近眼の人が裸眼の時に、物に近付いて判別しようとするような動作に似ている。メスの近くで、しかもある程度はメスの存在を意識していながら、オスは全く無防備に動き、そこに用心深さは微塵も感じられない。

Bオスは、メスの体の一部に自らの触角が触れるとメスを確認する。しばらく触角で繰り返しメスの体表を探ると、オスはのろのろと歩いてメスの背に乗る。やはり動きに注意深さは皆無。かと言って、メスの方もオスに探られたり背に乗られたりしても、オスを襲うことはなく、なされるがままである。

C背に乗ったあともオスは触角でしきりにメスの背を探り、その存在を確認する。その後、交尾器の接合をもって交尾は成立するが、メス腹端を探るオス腹部の動きは、どことなく他属の種よりも不器用さを感じる。

D私が確認した範囲では、交尾時間は最短で2時間、最長で7時間とばらつきがあった。どの場合においても精包の受け渡しは確認できたことから、交尾は完了したものと判断できた。交尾が終了すると、オスは歩いてメスの背から降りる。特にメスから離れなければ…という姿勢は感じられず、背から降りたあとでメスのすぐ隣で落ち着くこともしばしば。やはり緊張感が無い…。共食いが少ない証拠とも言えようか…。


  





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