分布:タンザニア
和名:無し
英名:boxer mantis
オス体長2cm、メス体長2.5cm前後の小型種である。海外ではboxer mantisと呼ばれることもある種だが、個人的にはこの程度の前肢腿節では、ボクサーと呼ぶほど特徴的なものではないと思う。それよりも特筆すべきは複眼の形状で、初令幼虫から成虫に至るまで複眼の両端が著しく突出する。全体的なフォルムからもわかる通り、本種はヒメカマキリに近い種であるようで、性質もこれに酷似する。歩く動きは素早くはないが、活発に飛翔するなどややトリッキーな動きをするので、扱いには注意したい。
ペアリングに際しては、ヒメカマキリと同様にオスはメスを確認すると臆することなく飛びかかって交尾を試みるので、何ら難しいことはない。ただ、体格差を考えると、ペアリングの時以外は雌雄を別に飼う方が(共食いを避けるという意味で)無難であると言えよう。メスは交尾後、1cm程度の大きさの卵嚢を複数産下する。その数は5個前後であるようだが、健康なメスであればより多くの卵嚢を生産することが可能であると思われる。
孵化した1令幼虫は黒い体色で、前肢腿節と各胸部の節間にのみ白色を呈する。体長は非常に小さく、さすがにトリニドショウジョウバエを捕食することはできないようであるが、キイロショウジョウバエならば1令幼虫であっても問題なく捕食できる。当方では、1令幼虫から3令程度に至るまでキイロショウジョウバエのみをエサとして与え、無事に育てた。以降はトリニドショウジョウバエをエサとして用い、終令にまで育てている。効率的な給餌を心がけるのであれば、終令ほどの大きさに育った幼虫にはキンバエなど、やや大型のエサを与えるのが良い。当方では本種の1卵嚢分の幼虫を1つのケージで飼育しているが、共食いは起こっていない。このあたりもヒメカマキリと同様であると言えよう。ただし、毎度述べることではあるが、エサが乏しくなった場合や幼虫間の体格差が大きい場合は、多頭飼育において共食いが起こり得ると思われるので十分に注意されたい。
<写真>
交尾
1令幼虫
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