脱皮・羽化不全
 はじめに言っておきますが、脱皮・羽化不全を起こした個体はどうしようもありません。飼育者が助けることができるヘビの脱皮不全とはワケが違います。残念ながら遅かれ早かれ死んでしまうのです。しかし、脱皮・羽化不全を高い確率で予防することはできます。簡単なことなのですが、予防法を以下に紹介します。

 まず、カマキリが脱皮・羽化不全を起こす原因は何か…と考えたとき、メインの理由は湿度不足です。プラケースのように通気性のよいケージで飼育していると、特にヒーターを使う冬季にはケージ内が想像以上に乾燥してしまいます。高湿度の熱帯域に産する種であっても、乾燥したケージで通常飼育するのは可能です。しかし、脱皮・羽化に際すると、比較的乾燥した温帯域に産する種であっても乾燥に弱いのです。乾燥した環境下では脱皮・羽化中に古い皮が早く乾き過ぎてしまい、うまくこれを脱ぐことができずに不全となってしまうのです。

 脱皮・羽化不全を防ぐために、ケージ内に一定の湿度を保ってください。しかし霧吹きを用いての給水は、よほど綺麗なケージで飼育されていない限りお勧めしません。当方ではもっと簡単な方法で湿度を保っていますので、参考になさって下さい。その方法とは濡れティッシュを用いたごく簡単なものです。
 ケージの隅に丸めた濡れティッシュを置いておき、完全に乾いてしまわないように数日に1度水を含ませるのです。これだけで脱皮・羽化に必要な湿度を保つことができます。フンがついたりしてティッシュが汚れてきたら、直ちに交換して下さい。カビの原因になりますので…。濡れティッシュは空気に触れる面積が大きいほうが高い蒸発により効率よく湿度を保てますが、濡れティッシュをケージの底全体に敷いてしまうのは止めて下さい。カマキリのフンが確実に濡れティッシュの上に落ちてしまいますので…。フンが濡れると、悪臭を放ち簡単にカビが生えてしまいます。こうなると個体がコンディションを悪くする原因になってしまいます。

 上記の方法で脱皮・羽化不全を予防することができます。しかしこれにより100%防げるワケではないことを理解しておいて下さい。特に野外品であれば、弱ってしまっていて皮を脱ぐ元気もなく不全になってしまうこともありますし、ケガをしている個体であれば、その部位が引っかかってしまって不全になってしまうこともあるのです。あくまで、「起こらなくて済むはずの脱皮・羽化不全を防げる方法」と認識していただければ幸いです。
 


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