自己捕食
私が今まで、それこそ数え切れない程の数のカマキリを飼育するなかで、たった5頭だけ自らの肢を食べるという狂った行動を見せた個体がいました。自己捕食とう単語があるワケではありません。私がこれを確認した種はヒョウモンカマキリ、ランカマキリ、マルムネカレハカマキリ、ニセハナマオウカマキリです。自己捕食に陥った個体はエサをいくら与えても隙をみて自らの肢を食べてしまいます。その行動を観察すると、最初は肢を口で掃除するという行動であったのが、飼育者が気付かない内に符節を食べてしまいます。それがエスカレートすると脛節→腿節と食い進みますが、それ以上は進行しません。代わりに他の肢を符節→脛節…と食い始めてしまうのです。ここまでは1度に行われるのではなく、数日かけて捕食します。
この狂った行動を見せた個体達は残念ながら皆数日以内に死んでしまいました。当方では、自己捕食の症状が見られた個体の2週間生存率は0%でした。また、今のところ解決法も全く浮かびません。当方で自己捕食を行い、結果的に死んでしまった個体の共通点として1つ挙げられるのは、その全てが野外採集品、俗にいう『ワイルド物』であるということです。原因は全く解りませんが、現地で採集→輸送→ショップへ→輸送→飼育者のもとへ…という強烈な環境の変化および狭い空間でのストレスが、自己捕食の一因になっているのではないか…と考えています。これは根拠の全くない推測に過ぎませんが、何百頭もの飼育個体からは1頭もこの症状を持つ個体が出なかったことから、的外れな考えではないと思っています。
1つ言えることは、症状の改善策が全く解らず、野外品特有のストレスが原因である可能性がある以上、なるべく個体にストレスのかからない(温度・湿度・ケージの大きさなど)飼育を心掛けるべきであるということです。
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