2005年11月09日

Phyllocrania paradoxa


分布:ケニア、タンザニア、ガーナ、カメルーンなどアフリカ各地
和名:パラッドックスカレハカマキリ、パラドクサ、パラドキサ
英名:ghost mantis

 体長5cm程度の小型種である。基本体色は明〜暗褐色であるが、稀にオリーブグリーンの体色を呈する個体がいる。本種は私が初めて本格的にブリードした種であり、大変思い出深い。2001年にごく少数(20頭程度)のヨーロッパCB個体が『アフリカ産カレハカマキリ』というインボイスネームで入荷した(おそらく、それが国内初入荷というワケではない)ので、当方でそれをブリードし、一部をSPHERO AQUA様にお分けした。当時充てられたコモンネームは『パラドックスカマキリ、パラドクサ、パラドキサ』などであったと記憶している。2001年以降本種を飼育した経験がお有りの方がいらっしゃるだろうが、その多くの方がSPHERO AQUA様から私の系統の子孫を購入されたものであるはずだ。それ故に、今現在も本種を飼育している方はほとんどいないのではないかと思われるのが残念である。と、いうのは、当方でブリードした本種は全て1♂3♀という少数個体群(おそらくこの4頭同士も血縁個体であろう)から生産されたので、近親交配が進めば、いずれ絶えてしまうのが当然というものだ。当方で維持した種親個体群は私の怠慢やインブリードの負荷により絶えさせてしまったが、日本のどこかで当方がブリードした個体の子孫が今も生きていてくれれば嬉しい…。2001年以降は、2004年に某業者様が1頭入荷したに過ぎず、この個体も私のもとにあるので、現在国内で出回ってはいないものと思われる。
 飼育に際しては多頭飼育も不可能ではないが、Deroplatys属と比較するとやや共食い率は高く、軽い空腹状態になると共食いが起こるようである。それでも、当方では終令や成虫30〜40頭を広めのケージで多頭飼育していたが。乾き気味の環境で飼育できるが、極度の乾燥は脱皮・羽化不全に繋がったので注意されたい。1〜4令程度までは空腹度に関係なくほとんど共食いが起こらなかったように記憶している。小型種の割りに成長は遅く、若令のうちは一般的なスピードで加齢するが、中令以降は脱皮の間隔が長い。メスは20〜40卵が含まれる卵嚢を複数(平均5個程度)生産する。最も多く卵嚢を生産したメスは羽化後7ヶ月半生存し、この間15個もの卵嚢を生産した。この個体が死んだ当時、その最初の子が既に終令になっていたことを考えると、いかに長生きであったかが分かる。

 2006年、私がニセハナマオウカマキリを輸入する際に、ついでに本種も個人的に輸入した。1番の目的は写真撮影であったが、せっかくなので累代も行うつもりである。なお、同年ショップによる入荷もあったので、国内での飼育人口は一時的に増えている。今後も国内で確実に累代がなされれば幸いである。

<写真>
標本
交尾
緑色個体
雌雄モザイク?(オス型頭部突起を持つメス)
擬死・交尾その他






Copyright(c)2005-2011 Mantid Maniacs. All rights reserved. 当サイトは全ての写真・文章の無断転用を禁じます。