《エサ》
・コオロギ
 様々な肉食生物のエサ昆虫として飼育者に最も普及しているのが、ヨーロッパイエコオロギ(Achetus domesticus)です。7、8年前までは主流ではなかったように感じますが、その繁殖力の高さとキープの容易さから今では完全にフタホシコオロギ(Gryllus bimaculatus)に取って代わりました。中令〜成虫になったカマキリのエサとして大量に消費することを考えると、本種が最適でしょう。コオロギの反撃が起こりにくいように、カマキリの両前肢(鎌)に収まるサイズのものを与えて下さい。同じ理由で、ケージ内に生きたコオロギを何日も放置するのは止めた方がよいです。反撃が心配であれば、ケージに放り込む前にコオロギの片方のアゴをねじ切ってしまうのもよいでしょう。コオロギはこの程度で死んだりしませんし、反撃の心配なくケージに入れられます。

・ショウジョウバエ
 翅はあっても飛ぶことはできない、いわゆるフライトレス形質のものが流通しています。これらは若令カマキリのエサに適しており、1〜3令くらいまではショウジョウバエだけで飼えます(その気になれば5令、6令にも…)。カマキリに反撃することもないので、若令カマキリにはピンヘッド(コオロギの若令幼虫)よりもエサとして相応しいと思います。ショウジョウバエを殖やす過程の『ウジ』が苦手な方もいらっしゃるでしょうが、意外と気にならなくなるもので、慣れてしまえば楽に殖やせるエサ昆虫であると言えます。昔カマキリをかなりの数飼育していたときは、ショウジョウバエも鬼のように増やしていました。一度絶えてしまい、今は2系統目ですが、確か昔のはF1920くらいまで累代していたはず。それほど増殖が簡単なのです。詳しくはSPHERO AQUAさんのページをご覧下さい。私のオススメはトリニドショウジョウバエ。やや大型のショウジョウバエですがコモンフラワーマンティスのような小型種の1令幼虫でも問題なく食せます。

・双翅目、鱗翅目の成虫
 カマキリのエサとして嗜好性が最も高いのが実はこれらの昆虫です。彼らの羽ばたきがカマキリの本能を刺激するようで、ほぼ全ての個体が好んで捕食します。野外品(WC;wild caught)のカマキリのなかには、長い輸送によりコンディションを崩し、コオロギを与えても拒食する個体もいます。しかし拒食個体でも多くは双翅目・鱗翅目成虫を与えれば捕食するので、当方では個体のリカバリー用や中令幼虫のエサ用に使用しています。コオロギと比較して、まとまった量を確保するのが困難ですが、釣りエサとして売られている『さし虫』を放置して羽化させれば、双翅目成虫(この場合はヒツジキンバエ)を確保できます。また、鱗翅目成虫については、ハチノスツヅリガの幼虫が『ブドウ虫、ハニーワーム』の名で売られておりますので、これを羽化させればよいでしょう。なお、鱗翅目成虫につきましては、蝶より蛾の方がカマキリに好まれます。蝶でもセセリチョウ科であれば蛾に近い嗜好性を示しますが、シロチョウ科は上記のものに比べ嗜好性が低いです。といいますのは、カマキリはエサ昆虫の『羽ばたき』に対し興味を示すのですが、その羽ばたきが速ければ速い程好ましいようで、ひらひらとゆっくり舞うシロチョウ科よりは機敏に速く羽ばたくセセリチョウ科を好むのです。同じ理由で、蝶より蛾の方が好まれます。



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