飼育法

 ご存知の通り、カマキリは肉食です。エサは直翅目や鱗翅目、双翅目など様々ですが、時には同じカマキリまでもが捕食の対象になり得ます。飼育する上で捕食を防ぐには1頭ずつの個別飼育が望ましく、実際ヨーロッパなどでは幼体をプラスチック製の紙コップ(?)で個別飼育しているブリーダーもいるようです。
 近年多くの種が販売ルートに乗るようになり、誰もが外国産カマキリを入手可能になりましたが、彼らの飼育法を完全に理解している方は少ないと思います。そこで、最低限の設備やスペースでの飼育法をご紹介いたします。一飼育者の『意見』ですので、参考程度に捉えて下さい。

《ケージ》
 まず、カマキリの種ごとの性質を把握するのが大切です。カマキリは共食いをするので個別飼育が望ましいと言いましたが、実はほとんど同種間で共食いをしない種もあるのです。このような種では多頭飼育が可能であり、飼育スペースの縮小が可能です。代表例としてはヒシムネカレハカマキリやメダマカレハカマキリなどのDeroplatys属が挙げられます。飼育の際には、幼体なら特大プラケースに20〜40頭まで、成虫なら数頭程度の同居が可能です。
※基本的に共食いをしないといっても、カマキリが肉食であることをお忘れなく。空腹度が高くなると、やむを得ず共食いをすることもあります。これらの(多頭飼育可能な)種は、あくまで「カマキリとしては共食いが起こりにくい」のです。

 逆に、共食いが激しく、多頭飼育が困難な種としてはアフリカメダマカマキリやコモンフラワーマンティスなどが挙げられます。しかし、このような種でも1令幼虫の段階で共食いをすることは皆無であり、共食いが始まるステージは種によって異なります。実際に飼育する時は、大き目のケージで1卵嚢分の1令幼虫をまとめて(20頭程度)入れても良いです。加齢と伴にいずれ共食いが始まりますので、私の場合はこれを合図に個別飼育に移しています。どのみち全ての幼体を成虫まで育てるのは極めて困難ですし、省スペースかつ手間を省くためには、この方法が合理的であると考えます。

 どのような種にしても、幼虫を飼う上で重視すべきことはカマキリがぶら下がれる天井や構造物をケージ内に設置するという点です。カマキリは『ぶら下がり型』の脱皮をしますので、符節の特にツメが引っかけられる構造物がないと、うまく脱皮姿勢をとることができません。野外の枯れ枝を用いるのもよいのですが、ケージ内が多湿になった際に枝にカビが生え衛生上問題があるので、当方では造花のような人工の枝(100円均一の店で入手可能)を使用しています。さらに、脱皮の際には高さの余裕が必要なので、ケージの高さ(深さ)はカマキリが天井にぶら下がっている時の身長(?)の2.5倍は用意して下さい。



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