2007年10月03日

またコケた…


 受精メスは合計7個の卵嚢を産んだ。しかし、あれだけ万全を期して得られた卵嚢が、1つも孵化しなかった。これには本当に参った。孵化予定時期を遥かに通り越しても、卵嚢は沈黙を守る。
 全ての卵嚢を暴いてみた。すると、中には黒変した卵がギッシリ。よく見ると黒変した卵1つ1つには体節が刻まれ、膜を通して肢も確認できた。即ち、黒変していた卵は全て胚発生が成され、孵化の準備が完了していたことになる。だったら何故、孵化しなかったのか…?
 黒変した卵は、ピンセットで取り出そうとすると(腐っていたため)脆く崩れた。孵化するには湿度が高過ぎたのだろうか?それ故、卵は孵化せずに死んでしまったのだろうか?一般的に、管理する際の湿度が高過ぎると、卵および卵嚢の発泡質にカビが生え、孵化せずに死んでしまう。この場合、カビは容易に目視できる。しかし、今回の卵嚢にはそれは見られない。そもそもカビが生えるほど過剰な湿度下で管理していないし、そんなヘマは無い。だったら何故…?

 正直に言って、致命的なまでの落ち度は見当たらない。さて…困った。原因は何だろう。2006年に乾燥条件に卵嚢をさらしてしまったときは少数しか幼虫が孵化せず、今回(一般的なカマキリにとっては)潤沢と言える湿度条件で管理した際には卵は胚発生が完了していたものの全く孵化せず…。本種が要求する湿度条件はそんなにシビアなのだろうか?それとも、原因は他に…。思い当たるフシが無いわけではないので、今後に活かしたいところだ。

 ちなみに、一番右の行の卵嚢は交尾がうまくいかなかったメスのもので、やはり無精卵であった。無精卵は胚発生が全くなされない『ただの卵』なので、数ヶ月経った今でも、写真のように卵は黄色いまま。ニセハナマオウに限らず、カマキリの無精卵はいつまでたっても変性し、変色することは基本的に無い。カビが生えた卵を見て「無精卵だったのでカビた」と言う人もいるが、それは全くの誤解。無精卵でも管理がしっかりしていればカビは生えないし、受精卵でも湿度が過剰だと容易にカビが生える。

  





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