2006年11月21日

Brunneria borealis


分布:北米、特にアメリカ合衆国の南部(ロッキー山脈の東側)
和名:
英名:Brunner's mantis

 北米に産するカマキリで大変細長く、成虫の体長は10cmに達するとのこと。成虫はごく短い翅しか持たず、飛ぶことはできない。また、本種にはオスがおらずメスのみで単為生殖する。欧米人にとっては比較的普通種であり入手が容易なためか、海外の市場ではヘタな希少種よりも出回っていなかったりする。しかし、入手が困難なわけではない。日本での過去の飼育例は、少なくとも私が知る限りは無い(あくまで「私が知る限りは」である)。私が2006年にニセハナマオウカマキリを個人輸入したついでに、どんなカマキリか一目見たくて2頭だけ送ってもらった。しかし、世話を怠ってしまったことから、結局手元の個体を2頭とも死なせてしまい、繁殖させることはできなかった。せめて、写真をもっと撮っておけばよかった…。

 華奢な形態であることから、頑丈な直翅目昆虫はエサに向かない。本種の飼育の際には主にハエなどの飛翔昆虫を用いるが、これらに対する反応は上々である。細い形態のカマキリは大人しく、多頭飼育が容易なイメージがあるが、手元の個体を2頭同居させたところ、共食いが起こった。決して共食い傾向は強くないが、多頭飼育で飼うのであれば十分なエサを与えることが必要であると言える。本種の共食い傾向の強さは、「ニセハナマオウカマキリIdolomantis diabolicaやバイオリンマンティスGongylus gongylodes以上、ヒメカマキリ属Acromantis spp.未満」と言ったところか。また、羽化時に要求する湿度は意外と高く、60%程度以上の湿度はキープしたい。ちなみに、私の飼っていた個体のもう1頭の死因は湿度不足による脱皮不全である。時期は真夏、本来空気中には十分な湿度が満ちている季節であった。当方では空調完備の部屋で飼育していたので、これにより若干乾いていたのだと思われる(それでも、50%は下っていなかった)。

 思い返してみて、「もう少しマシな管理をすれば良かった…」と後悔した種の1つである。シンプルで華奢な形態のため一般ウケはしない種だが、私にとってはいつかもう一度飼ってみたい種である。その時は、初令幼虫のエサ(ショウジョウバエでは大き過ぎるので、ダニやトビムシなどの土壌微生物を用意する必要があるとのこと)をちゃんと用意できるか否かが累代成功のネックとなるであろう。

<写真>
頭部(触角の根元が太い)






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