2006年03月07日

Hierodula sp.


分布:タイ(その他は不明) 属としてはアジアに広く分布
和名:ハラビロカマキリ?
英名:なし

 当方では雌雄ともに7cm程度と小型で羽化してしまったが、オスでさえ9cmの個体がいるそうなので、体長の最大値はもっと大きい範囲にあると思われる。本種は一見日本産ハラビロカマキリそのものであるが、日本産のものでは前肢基節に通常3対見られる黄色斑が本種では2対しか見られないことから、容易に区別できる。また、両種を比較すると、本種の方が相対的に翅が長くスラッとした印象を受ける。ただ、これらの相違点は分類学的に有効なものではなく、本種が日本産ハラビロカマキリと別種なのか同種なのか、はたまた亜種なのかは不明である。

 1ヶ月強をかけて孵化した1令幼虫は、既にこのステージから共食いを行い、以降も各令期においてかなり高い共食い率を示す。よってこの種は、典型的に『多頭飼育に向かない種』であり、これはハラビロカマキリHierodula patelliferaをはじめとした日本産各種カマキリにも総じて言えることでもある。しかし、本種は1つの卵嚢から孵化してくる幼虫の数が多く(100頭以上)、現実的に考えて全ての個体を成虫にまで安全に育てるには労力がかかり過ぎるので、3〜4令程度まではあえて多頭飼育し、共食いにより『口減らし』をするのも1つの手だと思う(私はそうしている)。
 本種は孵化から4ヶ月程度で羽化するようである。交尾の際は、雌雄を同ケージに入れるなどして対峙させるとメスがオスを食ってしまう確率がかなり高いので、雌雄の同居はやめた方がよい。飼育者が意図的に交尾『させる』ペアリング法が有効である。ただ、本種は雌雄の体長差があまりないので、交尾中であってもメスが空腹であればオスを食ってしまう可能性が高い。よって、ペアリングに際してはメスに十分に給餌しておくのが無難である。

<写真>
体色バリエーション
日本産本属との相違点(前肢基節の斑が2対しかない)
交尾
孵化






Copyright(c)2005-2011 Mantid Maniacs. All rights reserved. 当サイトは全ての写真・文章の無断転用を禁じます。